尊厳を守る入浴介助の技

入浴介助は、高齢者の清潔を保つだけでなく、その人らしさや尊厳を守るための大切なケアです。単に身体を洗うという行為を超えて、高齢者の気持ちを理解し、安心できる心地よい時間を提供することが重要でしょう。身体的なケアだけでなく、心のケアにも配慮した丁寧な対応、そして常に入浴を受ける側の立場に立った想像力と共感が求められます。

高齢者の尊厳を守るためには、まずプライバシーに配慮し、不必要な露出を避け、タオルなどで体を覆うなど、配慮が必要です。「お湯の温度はいかがですか?」「今日はどこから洗いましょうか?」といったように、高齢者自身に選択を委ね、自分のペースで入浴を進められるように配慮することも忘れてはいけません。優しい声かけも、高齢者の不安な気持ちを和らげ、リラックス効果も期待できます。さらに、安全を確保した上で、できる限り自分で行ってもらうことも重要です。自分でできることを自分で行うことで、高齢者自身の自己効力感を高め、尊厳を守ることにも繋がります。介助が必要な場合は無理をせず、安全に配慮しながらサポートを行いましょう。水の温度や力加減など、身体的な配慮も求められます。高齢者の肌はデリケートなので、力加減には特に注意し、痛みや不快感を与えないように優しく丁寧に洗いましょう。高齢者の立場に寄り添い、心からの配慮を込めた入浴介助は、心身両面の健康を支えるだけでなく、その人らしい生活を送るための重要なサポートとなります。

排泄ケア〜オムツの尿漏れを防ぐ方法

介護士にとって、利用者の方の排泄ケアは大切な仕事であり、難しい仕事でもあります。高齢者になると、オムツを装着している方も増えますが、尿漏れで悩む人は少なくありません。オムツの尿漏れのおもな原因は、「紙オムツの吸収量を超えて漏れている」ことと「オムツのすき間から漏れている」の2つです。オムツの吸収体全面が汚れて入れば吸収量を超えています。吸収体の一部が汚れているだけなのに漏れていれば、すき間を伝って漏れているわけです。オムツは各メーカー、製品により吸収量が決まっているので、尿の量が一定の量を超えると吸収できずにあふれ出します。この場合の排泄ケアとして正しいのは、排尿量に合ったサイズのオムツを選ぶこと、交換回数を増やすことです。 すき間から尿漏れしている場合は、装着される方に合った正しいサイズのオムツを選ぶこと、立体ギャザーをしっかり立てること、オムツの中心と臀部の中心が合うようにすること、そして、テープ止めタイプのオムツの場合はきつくならない程度に、でも、しっかり止めることで対策できます。正しいサイズの選び方は、メーカーごとにウエスト、ヒップラインのサイズが商品パッケージに記載されているので、あらかじめ利用者さんのサイズを計測すると間違いがありません。また、装着する前に、畳まれているオムツをしっかり伸ばして立体ギャザーを立てるといいでしょう。尿漏れを予防し、高齢者の方たちに快適に過ごしてもらいましょう。